1.差動式  
 

差動式スポット型感知器    
周囲の温度の上昇率が一定の率以上になった時に火災信号を発信するもので、一局所の熱効果によって作動するもの。  

1.空気の膨張を利用したもの

火災が発生すると空気室内の空気が暖められて膨張し、ダイヤフラムが押し上げられます。そのため接点が接触して回路が閉じられて火災信号を受信機に送り、火災の発生を発報します。
なお、火炎でない緩やかな温度上昇のときは、リーク孔から空気が出ていくので感知しません。リーク孔は火災ではない緩やかな温度上昇があった場合、誤動作を防止するため、その空気の膨張分を逃すためのもの。

    2.温度検知素子を利用したもの      
   

温度が変化すると抵抗値が変化する半導体(サーミスタなどの温度検知素子)を利用して温度上昇を検知するもので、温度上昇の割合が一定以上になると検知回路が検知し、スイッチング回路が作動して火災信号を受信機に送ります。暖房などの緩やかな温度上昇にに対しては検知回路は作動しないようになっています。

 

   
    3.熱起電力を利用したもの    
    ゼーベック効果(鉄とコンスタンタンのような異なる金属の両端を互いに接触させておいて(この状態を「熱電対」いう。)その接点間に温度差を与えると両金属間に起電力が生じる。温度が高くなる方の接点は温接点、低くなる方の接点を冷接点といいます。火災によって熱電対の温接点が高温になると、冷接点との温度差によって起電力おn生じ、リレーのコイルに電流が流れて接点が閉じ発報します。      
   

差動式分布型感知器

   
    周囲の温度の上昇率が一定の率以上になった時に火災信号を発信するもので、広範囲の熱効果の累積によって作動するもの。    
    1.空気管式      
   

空気管という銅製のパイプを天井に張り巡らし広範囲の温度変化により火災を検知する方式。熱で空気管内の空気が膨張 ⇨ ダイヤフラムを押上 ⇨
接点を閉じる ⇨ 発信。リーク孔は火災ではない緩やかな温度上昇があった場合、誤動作を防止するため、その空気の膨張分を逃すためのもの。

 

     
   

2.熱電対式

     
   

スポット型の熱起電力と同じく、ゼーベック効果を利用したもの。熱電対を一定面積ごとに天井面に分布させ、火災によって急激に温度が上昇すると熱電対に発生した熱起電力(直流)によって、リレーのコイルに電流が流れて接点が閉じ発報します。暖房などの緩やかな温度上昇には熱起電力が小さいので作動しません。

     
    3.熱半導体式      
    温度が変化すると抵抗値が変化する半導体(サーミスタなどの温度検知素子)を利用したものです。一定面積ごとに天井面に分布させ、火災によって急激に温度が上昇すると受熱板の温度が上昇し、熱半導体素子に温度差が生じてメーターリレーのコイルに電流が流れて接点が閉じ、火災信号を発報します。熱電対式の熱電対を熱半導体素子に変えただけです。      
    2.定温式  
    一局所の周囲温度が一定の温度以上になった時に火災信号を発信するもの。      
    定温式スポット型感知器      
    1.バイメタル式      
     バイメタルというのは,膨張率か著しく異なる2枚の金属板を張り合わせ
たもので,火災によって温度が上昇すると,金属の膨張率の差によってその
バイメタルが大きくたわみ,接点を閉じて火災信号を発報します。バイメタルを使ったものにはこのほか,円形のものもあります。この場合。バイメタルは温度上昇によって反転し(上に反り返り),接点を抑し上げます。
     
    2.金属の膨張式      
    外筒に膨張率の大きい金属(高膨張金属)を用い,内部金属板には膨張率の小さい金属(低膨張金属)を用いたものです。
 火災によって温度か上昇すると外筒の方が大きく膨張し,その結果,接点
同士が接近して閉じ,火災信号を発報します。
     
    定温式感知線型感知器      
     絶縁物で被覆されたピアノ線をより合わせただけのもので, 火災によってその絶縁物が溶けるとピアノ線が短絡して警報を発します。この感知器は,一度作動すると再使用することはできない構造となっています。      
    3.熱複合式  
     複合式というのはその名が示すとおり,二つの感知器の機能を併せ持ったものを言います。なぜこういうことをするかというと,異なる二つの感知器の機能の長所短所を互いに補い合うことによって非火災報,つまり誤報をできるだけ少なくするためです。
 この異なる二つの感知器ですが,言うなれば敏感な感知器と鈍感な感知器の組み令わせで。最初の敏感な感知器の第一報では受信機のみの非常ベルが鳴り,そこに居る管理担当者だけに発報を知らせます。この時点ではまだ火災であるかどうかはわかりません。誤報の可能性もあるわけです。
 次に,鈍感ではあるが確実な感知器からの第二報が入ると,火災の発生が確実と判断し,現地の非常ベルも鳴らして居住者などにも火災の発生を知らせる。とlいうシステムになっているのです。
 その熱複合式には多信号機能を有するもの(異なる二つ以上の火災信号を発
するもの)と有しないもの(二つの感知器で共通の一つの火災信号を発するも
の)があり,有しない方を補償式スポット型感知器と言います。
     
    補償式スポット型感知器      
   

ダイヤフラムの差動式と,金属の膨張タイプの定温式を合わせた構造となっています(定温式がバイメタル式の場合もあります)。

①周囲温度が急に上昇した場合
  差動式の機能か働き,空気室の空気が膨張してダイヤフラムを押し上げ,
 接点を閉じて発報します。
②周囲の温度が緩慢に上昇した場合
  空気の膨張が遅いので,ダイヤフラムを押し上げる前にリーク孔から逃
 げ,よって差動式の機能は働きません。しかし,その上昇が長く続くと,定温式の高膨張金属が膨張して左右に伸び,上の接点か下に押し下げられて接点を閉じ発報をします。つまり,定温式の機能が働くわけです。
 

     
    4.熱アナログ式  
    アナログ式感知器はアナログ式の受信機組み合わせて用いられます。従来の感知器が一定の温度や煙濃度に達した時に初めて火災信号を発信したのに対して、アナログ式は温度や煙濃度などが一定の範囲内になった時にそれらの温度や煙濃度などの情報,すなわち火災情報信号を連続して発信できるようにした「進歩した」感知器のことです。
 したがって,火災表示信号を発信する前の段階での温度や煙濃度でF注意表示」をして音響装置を鳴動させ,係員などに異常か発生したことを報知するという,早期対応をとることかできます。アナログ式には他に煙感知器であるイオン化アナログ式と光電アナログ式もあります。
 (※)一定の範囲内
 熱アナログ式の場合は公称感知温度範囲,煙感知器のアナログ式(イオン化アナログ式,光電アナログ式)の場合は公称感知濃度範囲で表します。
     
    熱アナログ式スポット型感知器      
     熱アナログ式にはこのスポット型しかありません。
①定義
  「一局所の周囲の温度が一定の範囲内の温度になった時に当該温度に対応
 する火災情報信号を発信するもので,外観が電線状以外のもの」となって
 います。
②公称感知温度範囲
 ・上限値:60℃以上. 1651以下
 ・下限値:10℃以上。「上限値-lOt」以下
 でI℃刻みとなっています。